糸芭蕉の木を見たことはありますか?
ここ奄美大島の安木屋場には糸芭蕉の群生地があるほど、伝統的な地域に根差した植物です。
見た目はバナナの木のようですが、バナナの木は”実芭蕉”と呼ばれ、鑑賞用は”花芭蕉”、そして繊維である糸が採れる芭蕉を”糸芭蕉”と呼ばれています。
この芭蕉の繊維は、昔から非常に高価であり、芭蕉布は日本三大古布のひとつとして有名です。
そして、ユタ神様を中心とした祭祀の伝統文化が残るここ奄美では、
この芭蕉の幹の中心部分の最も白い部分の糸を使い、
ユタ神様がご神事の際に身に着ける衣装を織っていました。
そんな貴重な糸芭蕉の繊維を、(株)天美では芭蕉の木を栽培するところからはじめ、大きく育った芭蕉の幹を山から刈り取り、繊維を含んだ幹を薄く丁寧に剥ぎ、それをガジュマルの灰とともに大きな釜で煮ます。
すると独特な美しいうっすらとピンクがかった色になります。
その煮たものを、竹で作った道具でしごき、余分な部分を丁寧にそぎ落とすと
美しい芭蕉の繊維が現れます。
これだけ手間暇かけた芭蕉の繊維。
写真の繊維から 10gです。